DTP
WindowsのVISTAには、ICMの後継となる色管理システム=WCS(Windows Color System)が搭載されている。WCSはキヤノンのカラーマネジメント技術であるKyuanos(キュアノス)を採用しているそうだ。キュアノスはこれまでのICCプロファイルを使ったCMSではなく、キヤノンの新しいカラーマッチングシステムであり、例えばデジタルカメラの画像をキュアノス機能を搭載したプリンター(現在は大型プリンタのみ)でプリントするとカラーマッチングが自動で行われるようだ。DTP関係者にとって最も恩恵が大きいのは、異なる環境光下であっても、正しい光(つまり正午前後の太陽光)での見え方に補正してくれる技術だろう。まだ使っていないので実際はわからないが、この環境光補正機能はクライアントやクリエータを煩わしいカラマネ作業から解放してくれる画期的な機能として期待できるかも知れない。

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環境光に関して意識の高い印刷関係者やクリエータだけが正しい色管理をし、正しい環境光下で色校正を見ても、もしクライアントサイドが演色性の低い照明で見ていたら色差の問題は解決されない。これまでそういった発言を繰返してきた。しかし、Kyuanosのこの機能が一般的になればこうした問題は大きく改善されることになる。

カラーマネジメントシステムといえば、技術者による難解な解説ばかりで、読んでいて嫌気のさすことが多い。クリエータは技術や仕組を知りたいわけではなく、実務面で使えるようになって欲しいだけだ。だから、カラーマネジメントはあくまでユーザーに知識や手間の負担をかけず、なおかつ低価格で提供されない限り普及はしないだろうと考えてきた。その課題は少しずつだが解決されてきているのかも知れない。

DTP時代のカラービュアーともいえるモニタについても、SumsongがAdobe RGB対応の20.1モニタを普及価格で発売した。サムソンのLX20は、ハードキャリブレーショ機器が付属したいわばカラーマネジメントのオールインタイプで、これまでに比べてカラーマネジメントシステム導入の敷居が低くなったと言える(Samsungに特化したhuey製キャリブレーションの性能はわからない。安かろう悪かろうでは困るが)。
装丁デザインの分野でも、クライアント、クリエータ、印刷会社がそれぞれ遠隔地から色校正を管理できる、完全なデジタルプルーフの時代がまもなく到来するだろうか。そうあって欲しいと思う。



昨日のエントリーに書いたように、PCを新しく買換えようとしているけど、PCを最新のタイプにすると、モニタもアクセサリーもアプリケーションソフトも新しくしたくなってくる。これは背広(近頃はスーツと呼ぶらしい)を買うと、ネクタイやシャツ、靴、時計、ついでに散髪もしたくなるのと同じようなものだ。
ここ数年PCや新しいアプリソフト情報から遠ざかっていたが、購入前の情報収集で調べてみると、Adobe日本法人の殿様商法が目立つ。CS3 Design Premium を例に挙げると、アメリカでの価格が1799ドル、為替レート120円で計算すると約215000円。それが日本では298000円の価格設定になっていて、日米価格差に驚く。日本語版にするコストがかかるとはいってもこれは高すぎないか。かってのクオーク以上の専横ぶりだ。クオークはインデザインに取って代られたけど、インデザインやフォトショップの牙城を崩す製品は見あたらないから、これからもこの状況が続くことになる。困った事態だけどどうしょうもない。Adobeは18ヶ月ごとにバージョンアップを繰返すと言ってるので、財布に余裕のあるユーザーとそうでないユーザーの格差問題が発生しそうだ。
最新のアプリケーションを使ったからと言ってデザインがうまくなる訳ではないけど、デュアルコアのPCとCS3の組合わせだと起動や動作が画期的に速くなるらしいからそれだけでも欲しくなる。
アップグレード版だけでももう少し安くしてもらえると助かるが、Adobeの一人勝ちが続く現状では望むべくもない。せいぜい頑張って稼いで、アプリケーション難民にならないようにするしかない。


Adobe CS、CS2はほとんど問題なくVISTAでも動くだろう、とアドビは言っている。しかし動作保証はしないし、従来バージョンをVISTA用にアップデートすることもないと発表した。次期バージョンのCS3はVISTAに最適化するそうだ。これは現行バージョンのCSユーザーは新しいバージョンを買わない限り安心してVISTAを使えないことを意味する。
こうしたアドビの態度の背景には、アドビとマイクロソフトとの対立がある。今、アドビとマイクロソフトは、プラットフォーム戦争、ウェブ戦争の真っ最中だ。アドビはApolloなどでデスクトップに侵入し、マイクロソフトは Expression WebやXPS(いわばマイクロソフト製PDF)でアドビの牙城を崩そうとしている。両社の対立はさらなる全面戦争へとエスカレートする可能性もある。

今回、アドビが現行のCSをVISTA用にアップデートしないのは、マイクロソフトへの攻撃のひとつだろう。つまりアドビは、アドビユーザーを人質にしてマイクロソフトを攻撃しているわけである。許し難い所行だが、アドビが一人勝ちしている現状ではユーザーの非難も馬の耳に念仏かもしれない。「戦時中」だからアドビとVISTAの関係もこの先どうなるか予断を許さない。
VISTA搭載の新しいPCを買う予定だったが、こうした状況では見送らざるをえない。VISTAの新しいカラーマネジメント機能(WCS)は魅力的だったがこれもあきらめるしかない。企業が競争するのはけっこうだが、ユーザーがこんな風に人質にされるのは困ったものだ。

Microsoft Windows Vista でのAdobe 製品の動作情報

Adobe Apolloで始まるWeb戦国時代
MS、アドビ対抗製品を投入開始--ウェブデザイン市場に挑戦

DTP
DTP時代になって、カメラマンは暗室から解放されてPhotoshop「Lightroom」という「明室」に引越すことができた。よかったね。
しかしデザイナーは逆に「暗室(Darkroom)」に籠るはめになってしまった。
アナログ時代は、窓際のデスクで朝のすがすがしい光を浴びながら一日の仕事を始めたものだ。だがそれも今は昔の話で、DTPになってからは、(天気が良いのに)窓のカーテンを半分しめて、天井の照明も消し、手元のスタンドの照明だけで仕事をしている。それもこれもモニタに余計な光が映り込まないようにするためだ。
かっての朝の爽やかさは失われた。カラーマネジメントとやらのせいで、いつの間にか薄暗い部屋の中でモニタの光を見つめながら仕事をするのが普通になってしまった。こんなことでいいのか。不健全きわまりない。モグラじゃないんだぞ!


今使っているCRTモニタが古くなってコントラストが低下してきたので、新しくモニタを買おうと考えている。先日秋葉原のヨドバシで見てきたけど、店頭で見る限り液晶モニタがCRTより見やすいとは思えない。しかし、今から購入するとなると液晶の方がいろいろ進化してるだろうから、やはり液晶にするべきだろうと思う。一方でCRTにはこれまで長く使ってきた信頼性がある。どちらにすべきか、ハムレットのように悩んでいる。貧乏デザイナーにとって安い買物ではないからだ。デュアルモニタで使っているので買換えが2台になるからなおさらだ。
DTP用モニタといえばナナオのColorEdgeが有名だが、とてもじゃないが高すぎる。妥協してFlexScanのL997を狙っているが、こいつも安くなってきたとはいえまだ15万円もする。業務用と考えれば高いとは言えないが、この機会にPCも高性能なやつに買換えようと考えているのでこの価格でも財布には相当厳しい。

思うのは、デザイナーが高価なモニタを買ってカラマネに注意しても、編集者はどうなのよ、という点である。編集者は天井の三波長蛍光灯をモニタに反射させながらカラマネなどおかまいなしの古いノートパソコンで見ているとしたら、なんのための高性能モニタよ、と考えてしまうのである。そんな環境で見ている編集者に「ちょっとこの赤が…」などと言われても困るのである。いや失礼。立派なモニタで見ている編集者も大勢いることだろう。
問題はこのカラーマネジメントというやつが本当にやっかいなところにある。カラマネばかりでなくフォントも同様だが、常に相手の環境を考えないと完全にはならない。編集者、印刷所、イラストレータ、フォトグラファー、デザイナーが環境を合わせて始めて完成する。自分だけがパーフェクトのDTP環境を構築してもそれだけでは十分ではないのだ。
昔はよかったなあ。
アナログ時代は自分のことだけを考えていればそれですんだのに…。昭和育ちのアナログ人間は昔をなつかしむのである。


昨日のasahi.comが、大手「自費出版」会社と著者とのトラブルを伝えている。しかし、かんじんの自費出版社の社名は伏せたままだ。朝日が名前を伏せている以上「推測」ということにしておくが、引きも切らないトラブルまみれのこの自費出版会社は新風社に間違いあるまい。
これまで、ネット上では新風社や文芸社の「共同出版」商法が批判されてきたが、新聞社は取上げてこなかった。それどころか逆に記事の中でもち上げてきた(※1)。朝日新聞としては、相手が「原稿募集」などの広告を出してくれる広告主だからか、今回も社名を伏せた腰の引けた記事になっている。しかし、社名こそ伏せてるものの、手口を紹介した批判的な内容をみると、ここへきて風向きが変ったのかもしれない。
※1(2006年10月7日「be on Saturday フロントライナー」記事は削除されている)。
追記:12:00pm
毎日や読売新聞には新風社の社名も、訴えた「著者」の実名も掲載されていた。訴状内容もこちらが具体的で詳しい。朝日だけが固有名詞を避けて「大手自費出版会社」としている理由を知りたいものだ。


いくつもの「出版賞」を設け、無名の素人を多額の賞金でつり、その裏で甘言を弄して有料出版を奨める手口。この「共同出版」商法が法律に触れるかどうか、係争中の裁判で原告が勝てるかどうかも私にはわからない(過去の裁判では著者側が負けている)。それに、騙されたとわかっても、弁護団を組織できる資金力を持つ出版社相手に個人で闘うのは難しい。裁判に持込めず泣寝入りする被害者も少なくないだろうから、この手の商法は今後も無くなることはないだろう。だが、今回の訴訟で注目が集れば流れが変るかもしれない。

それにしても、出版社を標榜する会社が、本の販売利益ではなく素人著者が支払った「協力」金で稼ぐ商法はどう考えても不健全だろう。しかし一方で、「著者」側にも問題があると思う。作家の佐野眞一氏が「だれが『本』を殺すのか」の中で書いたように、ちゃんと個人契約を交しているのだから、「自費出版ビジネスにまったく問題がないとはいえないが、独り暮らしの老人を狙って羽毛布団などを売りつける悪徳商法とは根本的に商売の組み立てが違う」とする考えにも一理ある。(そうはいっても、客観的に見て、とても水準に達していない本を次々と出版して稼ぐ商法を「まったく問題がないとはいえない」だけですますことはできない。)

不思議に思うのだが、被害を被った人たちは、100万円以上もの大金を払う前に、自分が契約しようとしている会社の情報を入手しなかったのだろうか。新風社や文芸社に関する情報はネットで見つかったはずだ。例えば、出版大手の講談社の年間出版点数が2000点程度なのに、新風社が1800点も出していることを異常な点数だとは感じなかったのだろうか。150冊ですよ月に。
「著者」側も脇が甘いと言われてもしかたがないと思う。


※最近では藤原新也氏のブログに新風社の情報が集り出している。

DTP
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いきなりだが、上のグレースケールで、A〜19までちゃんと区別できて、グレーの色がニュートラルグレーに見えているなら、あなたのモニタはとりあえず大丈夫である。
しかし、Aと1、18と19の区別がつかなかったり、グレーが変に赤かったり、青かったりしたら、写真を見るには適さないのでモニタの調整が必要だ。キャリブレーションツールがあるならそれにこしたことはないが、フォトショップがインストールされているなら、Adobe Gammaで調整できる。それもないなら、このグレースケールを見ながらモニタのコントラストを下げると、階調は多少改善されると思う。

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この四角がニュートラルグレーに見えればカラーバランスは問題ない。



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DTPで色の問題を取上げようとすると、普通、CMS(カラーマネジメント・システム)から始めることになる。しかし、モニタのキャリブレーションやICCカラープロファイル、ガモットなどという話はややこしいし、面白い話でもないからスキップすることにしたい。それよりも、多少断片的になるかも知れないが、すぐにでも役に立つ話に絞りたいと思う。

昨日は色校正機の種類の話をしたが、今日はその後の、色校正作業の光源についてである。印刷のための光源としては、日本印刷学会による推薦規格が定められており、色評価条件の共通化が図られている。いわゆるD50と呼ばれる光源が印刷の環境光である。色温度5000k(ケルビン)で、平均演色評価数=Ra90以上でなければならないと規定されている。

めんどうだけど、光源について、ここでざっと基本的なことをおさえておきたい。
色彩を正しく見るには、
 (1)演色評価指数 Ra90以上
 (2)色温度 5000〜6500K
 (3)明るさ 2000ルクス以上
が条件とされている。

(1)の演色評価指数というのは、基準となる太陽光(※1)にどれだけ近いかを示す指数で、数値が高いほど優れていて、100が理想である(つまり太陽光と同じスペクトル)
(※1 基準の太陽光とは晴天正午±2時間に地表に届く光のことである。太陽光であっても朝夕の光では演色性は良くない。)

(2)の色温度は、ここでは、白の色と考えることにする。
白といっても、実際はスノーホワイトからベージュに近い白までグラデーションがあり、色温度によって白の見え方が違ってくる。色温度が高いほど青っぽい白になり、低いほど黄色っぽい白になる。
具体的に言うと、テレビの色温度は9300kである。コンピュータのモニタも出荷段階での色温度はテレビと同じ9300kに設定されている(最近ではウェブのカラースペース=sRGBに合わせて6500Kに初期設定されたモニタもあるようだ)。9300kの白は青白い白になる。(電球やろうそくの光が黄色っぽく見えるのは色温度が低いためである。)
印刷物の環境光の色温度が5000Kに規定されているのは、標準的な印刷用紙の白に合わせたためである。(今となってはこの規格は古いかも知れない)。しかし、色温度にあまり神経質になることはない。5000〜6500kの間でいいと思う。デジタルカメラを使った事のある人はホワイトバランスという機能を知っていると思うが、あれは色温度を変化させているのである。

(3)の明るさは、ちゃんと明るい場所で見なさいということである。
ただし、色校正には2000ルクスも必要ないと思う。普通に明るければよい。

こうして列挙するとやっかいなことのように感じるが、要するに、色校正は、色温度5000k〜6500k程度で、太陽光に近い性質を備えた明るい光源の下で見なさいということである。逆に言うと、この条件を満たさないと、色が違って見える可能性が生じるということである。
※モニタを購入時のままつかている人は、色温度が9300kになっている可能性があるので6500kに変更するといい(安価なモニタは5000kまで下がらないかもしれない)。

こんな話は楽しくないと思う。話すほうもいいかげん嫌になってきたので、話をはしょって、色校正に使う蛍光灯の話に進みたい。
会社で多く使われている蛍光灯は、明るさをかせぐため、青・緑・赤の3波長域のスペクトルを強調した3波長蛍光灯と呼ばれるタイプである。この蛍光灯は、全体にまんべんなく色が分布している太陽光とは色が違って見えるため、色校正には向かない光源である。色校正ばかりでなく、会社の蛍光灯の下でメイクを直している女性も気をつけた方がいい。デート先であっと驚く結果を招きかねない(余計なお世話だが)。

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FPL-27ANX

しかしそうはいっても、会社の天井の蛍光灯を高演色性の蛍光灯に変えるのは現実的な話ではない。普通の蛍光灯よりは高価だし明るさも落ちる。そこで考えられるのは、机の上に演色性のよいデスクスタンドを設置することである。ただ設置スペースの余裕が無いかもしれない。お勧めは、三菱オスラム社の色評価用コンパクト蛍光灯、FPL-27ANXである。従来は事務所用の長いサイズの直管形状しかなかったが、この蛍光灯はコンパクトなのでスペースをそれほど取らないですむ。Raも95で合格だし、27wで明るさも十分である。
ちなみに私は日立製卓上タイプ形 FS2218E-Hを使っていて、Ra99と立派だが、こちらはそれなりにスペースを取るのが難点である。別にこれらの製品にこだわることはない。高演色性とか、色評価用とうたったAAAの性能をもつ機種なら大丈夫である。

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デスクスタンドの設置も難しいという人は、せめて演色性検査カード(1000円)を購入して、自分の光源のチェックをして欲しい。使い方も簡単である。演色性の悪い光源では上の画像にある二つのグレーの色が違って見えるので、この二つのグレーが同じに見える場所で校正すればいいだけだ。こちらから購入できる。

必要以上に神経質にならなくてもいいが、自分がどんな光源下で見ているかぐらいは意識しながら色校正を見て欲しいと思うのである。
(つづく)

次回は、オンラインワークフローについて
雑誌広告基準カラー
富士ゼロックスの色校支援サービス「inter-Graphics」
CTP
---など。



資料:蛍光灯の色温度
(wikipediaより)

* 三波長発光形蛍光灯 - EX
* 昼光色(6500K) - D
* 昼白色(5000K) - N
* 白色(4200K) - W
* 温白色(おんぱくしょく。3500K) - WW
* 電球色(2800K) - L

  


DTP
DTPワークフローの中で、最もトラブルの多い要素が色である。色の問題を取上げていくとDTPワークフローの抱える問題のほとんどが絡んでくるはずだ。長くなりそうなので数回に分けて書くことにする。

ブロードバンドの普及により、DTPのオンラインワークフローが一般的になりつつあるが、最後の難関として残っているのが色校正である。色校正だけはオンラインというわけにいかず、今も物流(バイク便や宅急便や印刷所の営業)を必要としている。モニタやインクジェットプリンタではプロセス印刷を十分にシミュレートできないことや、離れた場所から色の説明をする困難さがあるためだ。


現在行われている主な色校正は次の4方式である。
1 校正専用機(平台校正機)による校正刷り
2 DDCP(Direct Digital Color Proofer、ダイレクト・デジタル・カラー・プルーファー)による校正
3 インクジェット・プリンタによる校正
4 実際のオフセット印刷機による本紙校正

それぞれの特徴を列挙すると、
1の平台校正機は、実際のインキや用紙を使える。枚数が多い場合の単価が安い。しかし、実際の印刷機ではないので、職人の技の優劣で仕上りの品質がばらつく。すでに2001年に販売が中止されているため、遠からずサポートが中止され、壊れた時点で使用不能になると言われている。

2のDDCPは、品質が安定しており、網点も出力でき、実際の仕上りに近い。しかし、専用紙を使用するため、ファンシーぺーパーのシミュレートができない。特色も使えない。3枚以上出力すると平台校正よりコストアップになる。導入コストが高い。
(※雑誌広告では、大手広告主のトヨタが率先して旗振り役を努めたためDDCPでのワークフローがいち早く実現したが、ネットで情報を探しても古い記事しか見あたらない。現状はどうなんだろうか)

3のデジタルプリンタは、品質が安定しており、かなり近い色がだせる。コストも安い。しかし、ベタ濃度・ドットゲイン・トラッピング・モアレなどの確認ができない。多くの種類はあるが専用用紙しかつかえない。

4の本機校正は、理想であるが時間、コストが最もかかる。

それぞれに長短あるわけだが、実際は、3のインクジェット・プリンタによる色校正が主流になりつつあるようだ。その理由はなんといっても初期費用・ランニングコストとも安上がりだし、プリンタの品質が安定しているからだと思われる。

効率・コスト・確実性などでいずれかの方式が(クライアントによって)選ばれる訳だが、個人的にはアナログ時代も現在も平台校正による色校正が多い。それで特に不都合は感じていない。確かに最終的に色が多少変ってしまうという問題はしばしば起きるが、ブックデザインは(と言うより、私は)比較的単純なデザインが多いので、それほどのダメージはない。

デザイナーとしての希望は、どの方式で色校正を出すかということより、色校正がオンラインで完結すること、つまりリモートプルーフの実現である。もちろんデザイナー以上に印刷所の希望でもあるだろうが。リモートプルーフこそデジタル化による最大の恩恵となる。その先進的な試みが2004年に開始された富士ゼロックスの「inter-Graphics」サービスだが、2007年現在の今も情報が極端に少ない所を見るとあまり利用されていないのかもしれない。少なくとも、印刷所>クライアント>デザイン会社といったトライアングルでの利用は広がっていないはずだ。その理由は明らかだが、この件は「リモートプルーフ」として別にテーマをたてて論ずることにしたい。

以下は個人的な妄想だが、もし、リモートプルーフが実現すると、デザイナーは世界中どこにいても仕事ができるようになる(少なくとも実務面では)。ネットは時間と場所を選ばないから、例えば、アラスカやハワイに住んでも日本と同じように仕事ができる。一仕事を終えたら、ユーコン河をカヌーで下りながらビールを飲んだり、ワイキキピーチで金髪美女とサーフィンを楽しむことも可能になるわけである。アラスカやハワイに住んでいるデザイナーに仕事を頼むつもりはない、という声が聞えた気がしたが、あくまで個人的妄想である。
妄想を別にしても、リモートプルーフは簡単には実現しそうにない。技術だけでは片づかない問題が多くあるからである。だが、アナログからDTPに変ったのに、色校正だけが昔と同じでいいのか。DTP時代にふさわしい色校正はどのようにあるべきなのか。
(つづく)

次回は、「色校正紙を見る光源」について
*内容
デザイナー、編集者は正しい光源で色校正紙を見ているか
演色性とは何か
高演色性の蛍光灯にはどのような製品があるか
お勧めの高演色性蛍光灯
演色性検査カード
など。