DTP
DTPワークフローの中で、最もトラブルの多い要素が色である。色の問題を取上げていくとDTPワークフローの抱える問題のほとんどが絡んでくるはずだ。長くなりそうなので数回に分けて書くことにする。

ブロードバンドの普及により、DTPのオンラインワークフローが一般的になりつつあるが、最後の難関として残っているのが色校正である。色校正だけはオンラインというわけにいかず、今も物流(バイク便や宅急便や印刷所の営業)を必要としている。モニタやインクジェットプリンタではプロセス印刷を十分にシミュレートできないことや、離れた場所から色の説明をする困難さがあるためだ。


現在行われている主な色校正は次の4方式である。
1 校正専用機(平台校正機)による校正刷り
2 DDCP(Direct Digital Color Proofer、ダイレクト・デジタル・カラー・プルーファー)による校正
3 インクジェット・プリンタによる校正
4 実際のオフセット印刷機による本紙校正

それぞれの特徴を列挙すると、
1の平台校正機は、実際のインキや用紙を使える。枚数が多い場合の単価が安い。しかし、実際の印刷機ではないので、職人の技の優劣で仕上りの品質がばらつく。すでに2001年に販売が中止されているため、遠からずサポートが中止され、壊れた時点で使用不能になると言われている。

2のDDCPは、品質が安定しており、網点も出力でき、実際の仕上りに近い。しかし、専用紙を使用するため、ファンシーぺーパーのシミュレートができない。特色も使えない。3枚以上出力すると平台校正よりコストアップになる。導入コストが高い。
(※雑誌広告では、大手広告主のトヨタが率先して旗振り役を努めたためDDCPでのワークフローがいち早く実現したが、ネットで情報を探しても古い記事しか見あたらない。現状はどうなんだろうか)

3のデジタルプリンタは、品質が安定しており、かなり近い色がだせる。コストも安い。しかし、ベタ濃度・ドットゲイン・トラッピング・モアレなどの確認ができない。多くの種類はあるが専用用紙しかつかえない。

4の本機校正は、理想であるが時間、コストが最もかかる。

それぞれに長短あるわけだが、実際は、3のインクジェット・プリンタによる色校正が主流になりつつあるようだ。その理由はなんといっても初期費用・ランニングコストとも安上がりだし、プリンタの品質が安定しているからだと思われる。

効率・コスト・確実性などでいずれかの方式が(クライアントによって)選ばれる訳だが、個人的にはアナログ時代も現在も平台校正による色校正が多い。それで特に不都合は感じていない。確かに最終的に色が多少変ってしまうという問題はしばしば起きるが、ブックデザインは(と言うより、私は)比較的単純なデザインが多いので、それほどのダメージはない。

デザイナーとしての希望は、どの方式で色校正を出すかということより、色校正がオンラインで完結すること、つまりリモートプルーフの実現である。もちろんデザイナー以上に印刷所の希望でもあるだろうが。リモートプルーフこそデジタル化による最大の恩恵となる。その先進的な試みが2004年に開始された富士ゼロックスの「inter-Graphics」サービスだが、2007年現在の今も情報が極端に少ない所を見るとあまり利用されていないのかもしれない。少なくとも、印刷所>クライアント>デザイン会社といったトライアングルでの利用は広がっていないはずだ。その理由は明らかだが、この件は「リモートプルーフ」として別にテーマをたてて論ずることにしたい。

以下は個人的な妄想だが、もし、リモートプルーフが実現すると、デザイナーは世界中どこにいても仕事ができるようになる(少なくとも実務面では)。ネットは時間と場所を選ばないから、例えば、アラスカやハワイに住んでも日本と同じように仕事ができる。一仕事を終えたら、ユーコン河をカヌーで下りながらビールを飲んだり、ワイキキピーチで金髪美女とサーフィンを楽しむことも可能になるわけである。アラスカやハワイに住んでいるデザイナーに仕事を頼むつもりはない、という声が聞えた気がしたが、あくまで個人的妄想である。
妄想を別にしても、リモートプルーフは簡単には実現しそうにない。技術だけでは片づかない問題が多くあるからである。だが、アナログからDTPに変ったのに、色校正だけが昔と同じでいいのか。DTP時代にふさわしい色校正はどのようにあるべきなのか。
(つづく)

次回は、「色校正紙を見る光源」について
*内容
デザイナー、編集者は正しい光源で色校正紙を見ているか
演色性とは何か
高演色性の蛍光灯にはどのような製品があるか
お勧めの高演色性蛍光灯
演色性検査カード
など。