時津風親方(本名:山本順一)解雇へ――とメディアは報じている。
しかし、昨日の北の湖理事長の記者会見を見ていると解雇は難しいとの印象をもった。最も重い処分である解雇にはそれだけの理由が必要だが、今回は調査や尋問ではなく単に(本人に都合のいい)話を聞いただけで、山本は報道内容の一部しか認めていないので、解雇に相当するだけの事実関係を協会が把握したとは思えない。
事実関係がどうあれ、一人の人間が死亡したこと、大きな騒ぎになって協会に迷惑をかけたという結果だけを解雇理由にするつもりのようだが、それでは調査したことにはならないし、再発防止にもつながらないだろう。外部の専門家を加え、特別調査チームを編成してすべての部屋を調査すべきではないか。

次々と新しい内容が報道されているが、これらは愛知県警からのリークだろう。事件からすでに3ヶ月がたち、関係者からの事情聴取もすみ、これだけの供述を得ていながら、小出しにマスコミにリークするばかりで、いまだに山本を逮捕しないのはなぜか。理解に苦しむ。相撲協会に配慮して、山本が協会を離れた後に逮捕すれば協会へのダメージが少なくてすむと考えているとしたら問題だ。
これまで何人もの若い力士が原因不明で死亡している。15歳の健康な少年が「多臓器不全」なとどいう不自然な病名で死亡したり、風呂場で「溺死」したり、あるいは身体に外傷があったりしても、警察の検死は今回と同じように病死・事故死扱いをしてきている。本当にちゃんと調べたのか、警察と相撲部屋との不透明な関係も浮上している。

力士が本人の意思で部屋を出ても「脱走」扱いされる。本当は拉致と呼ぶべき兄弟子による連れ戻しも問題にされない。それもこれも、「国技」「相撲」というブランドの威光があるためだ。ブランドをはずしたら今回の事件は議論の余地のない凶悪犯罪でしかない。警察の検死を甘くさせてきたのもこのブランドの影響があるに違いない。

「国技」というブランドが事件の解明を難しくさせているのだから、今回の事件は時津風部屋だけの問題だけでなく、相撲協会が本当に「国技」にふさわしい組織かどうかが厳しく問われなければならない。しかし、相撲協会は監督官庁の文科省から促されるまで動かなかったし、昨日の記者会見でも、北の湖理事長に公益法人の最高責任者としての自覚は感じられなかった。大相撲のためにも調査が一段落した時点で北の湖理事長は辞任すべきだろう。